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「タイガーだって負けるほうが多かった」 “世界一男”スコッティ・シェフラーが到達した達観の境地
驚異的な安定感を誇るシェフラー。今季メジャー初優勝も「天命を待つ」(撮影:GettyImages)

<全英オープン 事前情報◇19日◇ロイヤル・リバプールGC(イングランド)◇7383ヤード・パー71>

ミスター・コンシステンシー。「コンシステンシー」とは継続を意味する言葉だ。今シーズンのスコッティー・シェフラー(米国)を形容する言葉として、これほど適切なものはないだろう。


先週の「ジェネシス・スコットランド・オープン」を3位タイでフィニッシュしたシェフラーは、これにより今季出場したPGAツアー19試合すべてで予選突破。しかし何より特筆すべきは、そのうち自身の開幕戦となった昨年10月の「ザ・CJカップinサウスカロライナ」以降18試合すべてでトップ12に入り込んでいることである。さらに「AT&Tバイロン・ネルソン」以来、直近の7試合では全試合で上位5位に食い込んでいる。

トッププロであっても人間だ。シーズンを通してジェットコースターのようなアップダウンがあるのが当たり前。それはローリー・マキロイ(北アイルランド)やジョン・ラーム(スペイン)といったワールドクラスも同様である。しかし現在のワールドランキングナンバーワンの男には、「アップ」はあっても「ダウン」は存在しないようだ。

しかしながら、もしかしたら、本人は不名誉に感じているかもしれない。理由は、連覇を飾った2月の「WMフェニックス・オープン」、そして翌月の「ザ・プレーヤーズ選手権」で2カ月連続で勝利して以来、優勝の二文字から遠ざかっているからだ。

一方で、今季のメジャーではプロゴルファーであれば誰もが羨望するような好成績を残している。2022年マスターズ王者は、オーガスタナショナルで行われたシーズン最初のメジャーで10位タイ。2戦目の「全米プロゴルフ選手権」では2位タイ、さらに先月の「全米オープン」でも単独3位という、抜群の継続性を見せているからだ。

昨シーズンにウィナーズサークルに仲間入りして以来、その後のわずか1シーズン半強の間に世界に名だたる選手に成長し、今日開幕する全英オープンゴルフ選手権でも優勝筆頭候補に挙げられている。そんな27歳自身は、自身の置かれた状況をどのように感じているのだろうか。

本音は「勝つのは本当に楽しいし、3位は楽しくない」である。同時に「好結果を残すのは良いことだし、今季の自分が常に上位に顔を出している競争力も素晴らしいことだけれどもね」と付け加えた。

ここまで好調を維持し続けることは容易ではなく、同じツアー内でプレーする同僚でありライバルの第三者から見れば贅沢な悩みだろう。しかしシェフラーが目指している場所はあくまで頂点だ。とりわけ重要なのは、もちろん、メジャー王者の称号だ。

「メジャーで勝つのは本当にうれしいし、楽しい。僕は毎試合、勝つためにスタートホールのティグラウンドに上がっている。だからこそ、優勝できないと大きなフラストレーションを募らせることになる」

シェフラーは継続を打破して頂点に登り詰めることはできるのだろうか。

「あのタイガー(ウッズ)だって勝ちより負けることのほうが多かったんだ。ゴルフはほかのスポーツと違って人事を尽くして天命を待つしかない競技。(今大会でも)その点に集中するしかないね」

本心を隠しながら、達観にも近い心境で語ったシェフラー。初日のスタート時間は現地時間午前9時47分(日本時間午後5時47分)で、イングランドのトミー・フリートウッドとオーストラリアのアダム・スコットと同組だ。


<ゴルフ情報ALBA Net>