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タイガー・ウッズが絶対に優勝したい理由 「またここでプレーできる保証はない」
聖地に戻ってきたタイガー 優勝を目指してプレーする|(撮影:福田文平)

<全英オープン 事前情報◇12日◇セント・アンドリュース オールドコース(スコットランド)◇7313ヤード・パー72>

第150回目を迎える本大会は、タイガー・ウッズ(米国)にとってはセント・アンドリュースで開催される最後の「全英オープン」になる可能性もある。だがそれでも、ウッズは悲しむことはなく、おそらく戻ってこられたという現実に、喜びさえ覚えるのではないだろうか。

ウッズは現在46歳。昨年2月には交通事故で右脚に大ケガを負い、キャリア自体が終わったのではないかと危ぶまれた。それだけに、今大会が最後のオールドコースとなってもおかしくないことを、自身が最も理解している。

とはいえ今週ここまでの4日間で、ウッズはすでに58ホールをこなしている。比較的痛みを感じずに、自由にプレーができている印象だ。一方で、いまだに完全復活を遂げていないという事実もある。

今後3年間の大会開催会場はロイヤル・リバプール、ロイヤル・トゥルーン、ロイヤル・ポートラッシュに決まっている。事故で負ったけがだけではなく、昔から苦しんできた腰やヒザといった古傷もある。体が今後いつまで持ちこたえられるかは誰も分からず、ゴルフを続けられる保証はどこにもないのだ。

自分が分かっているのは現在のみ。未来のことなど、誰も何も分からない。だからこそ、ウッズは今大会で最高の時間を送ることしか考えていない。

「セント・アンドリュースでの全英オープンに、今後あと何回出場できるのかは分からない。分かっていたのは、今大会に絶対に出場したかったということだけだ」と強い気持ちをこめている。

「1995年に初めてプレーし、2022年の今大会が最後になるかもしれないし、ならないかもしれない。もう一度プレーできたなら最高のことだが、どこにもそんな保証はないんだ」

セント・アンドリュースは、ウッズが全英オープンにデビューし、最初にクラレットジャグを手にし、そして「世界で最も大好きなコース」と称した場所である。もう一度勝ちたいと考えるのは当然だが、同時にここでプレーできることを当たり前だと思う気持ちはみじんも持っていない。

ウッズは言う。

「リハビリをしていた時、私の望みは再び歩けるようになることだった。普通に歩いて、普通の生活を送ること。欲を言えば、息子や友人と一緒に、遊びでゴルフをできればとも考えていた」

それほどまでの大ケガだった。

「しかし今年、私はメジャートーナメントでのプレーが叶った。トップレベルでプレーできることが分かり、次の目標がセント・アンドリュースで行われる今大会へとシフトした」

ゴルフ生誕の地で行われる世界最古のメジャーへの出場。それがウッズのフォーカスとなったと言う。

「この試合は私にとって特大の意味を持つ。私がキャリアグランドスラムを成功させたのもここだったし、このコースは私にとって非常に重要な場所なんだ」

4月に出場した「マスターズ」でウッズは、初日を1アンダーの「71」で終え、素晴らしい形でカムバックしてみせている。その後は痛めた脚を引きずりながら厳しい戦いを強いられたが、オールドコースはオーガスタナショナルよりもフラットで、脚にかかる負担は少ない。だからこそ、ゴルフファンは不死鳥のように復活したウッズが最終日に優勝争いをしているのではないかと、期待してしまうのだ。

「体はまだまだ回復する可能性もあるが、現実的にはそれは容易ではない。46歳の回復力は、26歳だった頃とは雲泥の差だ。でもそれを考えても仕方がない。幸運にも、ゴルフというスポーツは40代になってもプレーでき、特にリンクスコースなら50代になっても続けることができる。50代終盤のトム(・ワトソン)があと1打で優勝を逃したこともあった」

コースを知り尽くし、リンクスゴルフを熟知していれば、十分に優勝の可能性はある。ウッズもそれを信じ「今週はフェアウェイも硬くて速く、ベテランはランを使って距離を稼ぐことができる。優勝のチャンスはある」と力を込めた。

「強風の吹いた今日はいい練習ができた。今週はあまり風が吹かない予報になっているけど、こういうゴルフショットを打たなければならないかもしれない、という感覚を頭の中に植え込むことできた」

全英オープンの醍醐味ともいえるのが天候だ。不規則な天候により、選手たちのプレーも大きく左右される。同様に、予測不可能なのが今後のウッズに残されたゴルフキャリアだ。ウッズ自身、そしてゴルフファンは、いったいどのような結末を見ることになるのか。今大会から目が離せない。

<ゴルフ情報ALBA.Net>