<全英オープン 3日目◇20日◇ロイヤルポートラッシュGC(北アイルランド)◇7344ヤード・パー71>
自身の人生でも最高クラスのラウンドだったというシェーン・ローリーが、第148回全英オープンロイヤルポートラッシュ大会で首位に躍り出た。
8バーディ、ノーボギー。63の好スコアをたたき出し、前日の8アンダーから16アンダーまで一気にスコアを伸ばして2位に4打差をつけた。もし最終18番の惜しいバーディパットを沈めていれば、2年前のロイヤルバークデール大会でブランデン・グレースが出したメジャー最少ストローク記録に並ぶところだった。
メジャー初制覇を目指す32歳は、「コース上で限れば、人生で最高の日だった。言葉で表現するのが難しいくらいだ」と、満面の笑みを浮かべた。
改めてムービングサタデーを振り返ると、3番でこの日最初のバーディを奪い、5番と9番でもスコアを一つずつ伸ばした。後半にギアを上げて完全にゾーンに入ると、15番ホールから圧巻の3連続バーディを奪取。特に16番、通称「カラミティ=惨劇」では、4番アイアンでのティショットを2メートルのベタピンにつけ、見ていた解説者が「今日一番のショット。ただただすごい」が舌を巻いたほどだった。
17番でも再びバーディを奪い、キャディとは「このような日はもうやってこないかもしれないから、残り30分間、楽しもうぜ」と話し合ったという。
この日会場を訪れたギャラリーは、過去2日間にも増して大音量で選手に声援を送っていた。午前組で回ったメジャー初体験の稲森佑貴が「雰囲気が違った」と驚きを隠せなかったように、コース上にいたすべての選手がそう感じていたほどだ。“準ホーム”ともいえるアイルランド出身のローリーの場合は、さらに上をいく大声援が送られ続けていた。
極めつけは18番。花道を歩くローリーは、万雷の拍手とスタンディングオベーションで迎えられた。最終日であれば普通かもしれないが、3日目時点で起こるのは異例のこと。
さらに、ホールアウト直後からローリーコールが始まり、プレー終了から30分経過しても収まらず、長い間コースにこだまし続けた。
応援を受けた側のローリーも、「今日のギャラリーはすごかった。信じられないほどだったよ」と目を丸くしたほどだ。
2位につけたトミー・フリートウッドもまた、ギャラリーの恩恵を受けた一人だ。イングランド人のフリートウッドは北アイルランドの熱いゴルフファンに背中を押されて、ボギーなしの66をマーク。フリートウッドは「選手にとって最高の雰囲気だった」と振り返った。
12アンダーはローリーと4打差も、1992年のニック・ファルド以来となるイングランド人の優勝は射程圏内といえるだろう。
特に最終日は天気も大きく崩れる予報となっている。コンディションにもよるが、昨年の全米オープンでも63の好スコアを出した爆発力のあるフリートウッドであれば、大逆転劇を起こしても決して不思議ではない。
ともに優勝すれば悲願のメジャー初制覇となる。果たしてクラレットジャグに手が届くはこのどちらか? それとも、ブルックス・ケプカやジャスティン・ローズといったメジャー獲得経験者が後方からまくってくるのか? 注目の最終日はあとわずかでスタートだ。