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タイガー・ウッズ一問一答「セントアンドリュースの創造性が気に入っている」
会見に臨むウッズ、一つ一つ噛み締めるように答えた(Photo by Andrew RedingtonGetty Images)

<全英オープン事前情報◇14日◇セントアンドリュース・オールドコース(7,297ヤード・パー72)>

5度目の聖地で2008年以来遠ざかるメジャー制覇を目指すタイガー・ウッズ(米国)の一問一答はこちら。

 

「セントアンドリュースの創造性が気に入っている」

R&A:先週のグリーンブライヤーでは好調だったようだが、全英オープンでプレーするのが楽しみか。
ウッズ:とてもワクワクしているよ。ゴルフの聖地に戻ってこられて、興奮している。1995年にプレーして以来、このコースを愛している。コースに出て、その感触を味わい、様々なショットが打ててうれしいよ。以前ここで開催されたジ・オープンとは、今回は多少異なる感じだ。地面がソフトで、天気予報では金曜日にはもっと軟らかくなりそうだ。これまでとは少し違ったプレーをすることになるだろう。

R&A:ここセントアンドリュースではすでに2度の優勝を果たしている。ウッズ選手にとって、セントアンドリュースがスペシャルな理由な何か。
ウッズ:創造性がすごく気に入っている。色々なタイプのショットを打てなければならないからね。初めてセントアンドリュースについて聞いたときは、左方向を狙って目いっぱいボールを叩くように言われた。しかし本当は違う。正しいアングルを捉えなければならない。過去十数年間、色々な方向から吹く強風のコンディションでプレーしてきて分かったのは、状況によって大きくプレーが変化すること。だから、ベースとなるのは角度だ。ホールに近づけるためには、フェアウェイの決まった場所にボールを置かなくてはならない。戦略的に考えてプレーするのは、私の大好きな部分だ。ここでは、(普段なら)ほとんどのホールでランを稼げるけど、今年は地面がソフトだがら状況が違う。とはいえ、転がすオプションもある。風の向きが5度変化するだけで、ゴルフコース自体が完全に変わってしまう。個人的には、そこにとても大きな魅力を感じる。

R&A:怪我と不調で苦しんできたが、セントアンドリュースで復調はなると思うか。
ウッズ:すでに話をしたこともあるが、ザ・メモリアル・トーナメントでは最悪のパフォーマンスを見せた。正直あれは、私のキャリアの中でも最低の出来事だった。簡単なコースではないが、散々なプレーをした。結果的にそれがグリーンブライヤーでのパフォーマンスにつながり、日曜日は過去2年間でおそらく最高のプレーができた。今週を迎えるにあたって、良い形でここに入れた。到着後の練習ラウンドでも、同様にいいボールが打てている。

R&Aすべての栄冠を勝ち取ったともいえる素晴らしいキャリアを過ごしてきたが、いまだにコース上でナーバスになることはあるのか。
ウッズ:確実にある。いつもナーバスだよ。1番のティショットもそう、ナーバスになる。大事なことだと考えているからだ。もしナーバスにならないようになら、それはクラブを置く時だ。コースで何をしようとまるで気にしていないということになるからね。その緊張感とどのように対応するのかが大切。キャリアを振り返ると、上手に対応できたと思う。いくつか優勝もできたしね。トーナメントに出場してプレーするのが、たまらなく好きなんだ。世界の最高峰で、ワールドクラスのゴルファーを相手に戦うのは、本当に楽しい。

R&A:キャリアの前半と後半を比較して、感情的に異なるものはあるか。
ウッズ:私が最も緊張した瞬間は、おそらく12歳の時。初めて18ホールを回った時だ。11歳までは9ホールだけしかプレーしないが、12歳になると突然18ホールプレーすることになる。18ホールの大会に出場するのが怖くて、両親にとてもナーバスだと話したのを覚えているよ。それまでに一度もない経験だったから、まるで話が違った。ただあの時以外は、緊張感を楽しんでいる。コースに飛び出してほかの選手と競い合うのを楽しんでいる。自分の順番が来て、ライバルたちと対戦するために1番のティーグラウンドに上がる瞬間は、ワクワクして仕方ないよ。

「引退?まだまだ早いよ!」

R&A:オールドコースでは、調子の良し悪しよりも経験のほうが重要か。
ウッズ:風の種類が様々だから、経験は非常に重要だ思う。ここではボールはしっかり打たなくてはならないし、パッティングもできなければダメだ。しかしここでラウンドをした経験が少なく、様々な風で異なった顔を持つコースを知らなければ、ヤーデージブックにあるバンカーの存在を知らなければ、コースに出るとそれが突然明らかになる。過去にプレーをしてきて学んだのは、先輩ゴルファーと練習ラウンドを回って、どのようなショットを打つべきかを心得るのが大きな手助けになること。時には隣のホールのフェアウェイから、打たなくてはいけない時もある。米国のコースで、わざとそんなことを練習するなんてあり得ないことだ。(米国でも)隣のホールのフェアウェイに打ち込んだことはあるけどれも、わざとではない。一方のセントアンドリュースでは、隣のホールからのほうがより良いアングルにボールがあるので、アドバンテージになることさえある。バンカーや土手をかわすための最短距離にもなるからだ。

R&A:ジョーダン・スピースは昨日ようやく現地入りした。ゴルフシミュレーターでオールド・コースの練習は可能か。
ウッズ:前述のとおり、大切なのは風のコンディションだ。色々な風がどのように吹き、プレーにどのような影響を与えるかを理解する必要がある。確かにシミュレーターは素晴らしい。しかし、異なった風の中で実際にプレーして違ったショットも打たなければならない。同じホールなのに、1日目と2日目でまるで違ったショットを打たなければいけないんだ。私にとっては5度目のセントアンドリュースでのプレーになるが、その間様々な風を見てきた。1998年のダンヒルカップでもプレーしたから、グリーンが凍結する姿も見ている。そんな中でコースに出てプレーしなくてはならなかったから、面白かったがね。

R&A:楽観視している雰囲気を感じるが。
ウッズ:たぶん、自分のプレーの状態が良いからだ。ソリッドにボールが打てて、コントロールができている。この場に来て、左右だけではなく弾道もしっかりと変えられる。それも楽に弾道の変化をつけられているからね。このコースでは、それができなければスコアは作れない。ボールを上手に動かせなければならないんだ。低弾道のドローボールと、低弾道のフェードでは、地面に落ちたボールの動きが大きく異なる。30〜50ヤードの違いが出ることもある。それを理解すること、そしてコントロールすることが非常に重要だ。

R&A:ウッズ選手は常に優勝を目指してプレーしているのはみんなが知っている。今は復調気味で、大幅なスイング変更にも挑んでいる。ただ苦しんでいた時には引退の二文字もちらついたか。
ウッズ:引退?まだまだ早いよ!昨年の手術以来、ようやく身体も元に戻ってきた。普通は4か月から6か月で完治するというけど、ツアーでプレーしている選手やほかのアスリートに聞けばわかるが、本当に回復をするのには1年はかかるものだ。短期間で“ある程度”は戻るが、完全な状態になるのには1年間必要だ。スイングを変えていなければより早く元の状態に戻れたかもしれないが、同時に変更をしているので時間がかかっている。

R&A:ジャック・ニクラウスの記録をいまだに抜けると信じているのか。それとも、それは困難なことだと受け止めているのか。
ウッズ:そんなことはまったくない。まだ40歳にもなっていないし、若いんだから!ここにいる一部の人間は、もうすでに終わった選手だと思っているかもしれない。でも私はこうしてあなた方の目の前に座っている。プレーするのが大好きで、トーナメントで戦うのが大好きだ。こういったイベントがたまらなく好きなんだ。

R&A: コース上に出ると、2000年と2005年で優勝した時の感情はこみあげてくるものか。
ウッズ: 確実にね。うん、絶対そうだ。さらにいえば、95年のことも思い出す。引退前のアーノルド(パーマー)が、セントアンドリュースで最後にプレーした時だ。ジャック(ニクラウス)と最後に一緒にプレーした時には、強風でプレーが中断した。ボールが自分のほうに戻ってきてしまうのだから、すごい経験をさせてもらったよ(笑)。ダフ(ジェイソン・ダフナー)とも話をしたけど、あの時ダフは3メートル弱のパットをカップに近づけた。だけど残り1メートル強のパットを打ったらボールが戻ってきたと言っていたよ。もう一度打って、カップを通り過ぎたからボールをマークした。ボールを戻すと、今度は風でボールがカップに吸い込まれそうになった!それで結局中断が決まったんだ。様々なコンディションを見てきたし、ここでのプレーはいつもワクワクするんだ。

R&A:オールド・コースが大好きなのは知っているが、ウッズ選手を引きつけるセントアンドリュースのどこがそれほどスペシャルなのか。
ウッズ:ゴルフの聖地、それは誰もが知っていること。個人的には色々なプレーが楽しめるのが、素晴らしい。死ぬ前に一つだけやりたいことがあってね。ここで、18番ホールから逆行でプレーしてみたいんだ。一度だけでいいから、本当にやってみたい。どうしてそこにバンカーが置かれているのが分かるだろうし、最高だろうな。すべてが明確になるし、すべてが完全にインプレーだ。その日が本当にやってくれば、とても楽しいだろう。