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精神力が全英制覇へのカギ カーヌスティ攻略における“8箇条”
精神力が問われる大会 世界トッププロたちはコースをどう攻略する?|(撮影:村上航)

<全英オープン 初日◇19日◇カーヌスティGL(7402ヤード・パー71)>

早くも激戦の様相を呈している今年の「全英オープン」。今後3日間にどのようなゴルフが展開されるのか楽しみだ。初日に好スコアを出した選手はさらなる躍進、そしてつまずいたものには挽回の手掛かりになるだろう有益な情報「カーヌスティ攻略へ8つのキーポイント」を紹介しよう。


■強靭な精神力
カーヌスティGLで行われた直近の2大会では、全英ローテーションの中でも屈指の難関コースとされるこのコースがどれほどタフなものかが証明された。特に、71ホールまでどんな好パフォーマンスを演じても、フィニッシュラインとなる最終日最終ホールまで勝負は分からない。

1999年にジャン・バンデベルデ(フランス)が味わった「カーヌスティの悲劇」は、ゴルフ界ではいまでも語り草になっている非常に残酷なストーリーだ。2位に3打差の首位で最終ホールを迎えたバンデベルデ。しかし、2打目が観客席の方向へ行き、跳ね返ったボールが深いラフの中へ。さらにそこからグリーン手前のクリーク(通称バリー・バーン)に打ち込み、まさかのトリプルボギー。ジャスティン・レナ―ド(米国)とポール・ローリー(スコットランド)とのプレーオフとなり、結果的には、最終日のスタート時点で10打差をつけられていたローリーが奇跡の逆転勝利を飾っている。

07年も最終ホールでドラマが起こった。首位を走っていたパドレイグ・ハリントン(アイルランド)が18番でダブルボギーを叩き、その時点では誰もが勝負は決したと思っていた。しかしセルヒオ・ガルシア(スペイン)がウィニングパットを外してプレーオフに突入。ハリントンが再逆転でクラレット・ジャグを手繰り寄せたのだった。

■忍耐力
うねりのあるカーヌスティのフェアウェイは硬くて速い。さらに、現時点では多少柔らかさを残すグリーンも、週末にかけて晴天の予報も重なって、今後は硬さを増すはずだ。プレー中は様々な場面で不運なキックにも遭遇したり、バンカーやクリークにつかまることもあるだろう。これらをただのアンラッキーと考え、気持ちを切り替えて耐えるゴルフにも対応できれば、道は開けていくはずだ。

■ゴルフ脳
カーヌスティは“考える”ゴルファーに有利なコースだ。ティオフからの飛距離と自分のエゴを捨ててプレーができれば、成功の確率がグッと上昇する。我慢強く、そして注意深いゴルフを考えながら進めるのが、安定したパフォーマンスへの最大の近道。短い番手のクラブを持っても、ランが出るフェアウェイはしっかりと距離を稼いでくれる。アプローチでも、常にデッドに狙う必要はない。グリーンに乗せればいいという、賢明な判断力も肝要だ。ここでは想像力と創造力を膨らませたゴルファーが優位に立てる。

■勝利へのどん欲さ
トップレベルのプロゴルファー、つまり世界ランキングでも上位にいる選手たちの頭にあるのは「勝利」の二文字である。それは大会前の記者会見におけるジャスティン・トーマス(米国)のコメントにも凝縮されている。「コース外では友だちでも、ひとたびコースに上がれば、誰もがお互いを打ち負かしたいと考えている。私も誰にも負けたくない。それが親友であればなおさらだ」

■平静と落ち着き
すべてが崩れかけたときに頭の中をクリアにできるか否かは、サクセスの条件となる。昨年ロイヤル・バークデール大会で優勝したジョーダン・スピース(米国)が最高の例だろう。13番の1打目は、スイング直後に頭を抱えるほどのミスショットも、練習場内でドロップする好判断により、見事窮地から脱した。このホールをボギーとして、一時はマット・クーチャー(米国)に逆転を許したものの、そこから奮起。残り5ホールでスコアを5つ伸ばす鬼神のプレーぶりで、念願の全英オープン初優勝、メジャー3勝目をつかみ取った。

■ボールストライキング
しっかりボールを打てる選手。つまり、ほかの誰よりもクリーンにクラブフェイスでボールを捉えて、独特の打球音が出せるゴルファーとなる。上下左右に変幻自在にボールを操れて、アイアンを使いこなすことができる。タイガー・ウッズ(米国)やジャスティン・ローズ(イングランド)は極めて高水準でアイアンショットを放つだけに、今大会で要注目の2人と言えるだろう。

■ショートゲーム
グリーン周りでのクリエイティビティとテクニックは、成功には絶対不可欠となる。カーヌスティでは、目の前に迫った障害を簡単に飛び越えるような、イマジネーションに溢れた切れのあるショートゲームが選手を優位に立たせる。難しいライやバンカーに挟まれたコースをすり抜けていく。深いバンカーに落とした時でも、鮮やかにリカバリーできるスマートなゴルフができれば、上位進出が見えてくる。

■パッティング
これはどのコースでも同様だが、スコアを伸ばすためにはパットが好調でなければいけない。いまの現役ゴルファーは、一昔前よりも速いグリーンに慣れている。しかし今大会では、フェアウェイよりグリーン上のほうが球の転がりが遅かったり、もしくは好天と強風の影響により急激に硬くなったりと、必要に応じてアジャストできる適応力が重要視される。例えば今年の「マスターズ」王者のパトリック・リード(米国)は、パターの感覚に優れるうえ、強靭なメンタルも兼備しているだけにチャンスはあるはずだ。