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吹き荒れるシェフラー旋風、今季5勝で30億円超の荒稼ぎ!【舩越園子コラム】
生れたばかりのベネットくんを抱えるシェフラー(撮影:GettyImages)

今年の「メモリアル・トーナメント」は異例の「全米オープン」前週の開催となり、戦いの舞台、ミュアフィールド・ビレッジは「まるで全米オープン!」と選手たちが口を揃えるほど、ラフは深く、グリーンは固く速い、難度の高いセッティングだった。


とりわけ最終日は、アンダーパーがわずか6名という難しさだったが、そのうちの1人となった松山英樹は「70」をマークし、トータル2アンダー・8位タイに食い込んだ。

そして優勝争いは、世界ランキング1位のスコッティ・シェフラー(米国)が3日目を終えた時点で独走態勢にあった。

他選手たちが難コンディションに苦戦していた中、シェフラーは初日を「67」で回り、首位から1打差の2位で発進。2日目も「68」とスコアを伸ばし、2位に3打差を付けて単独首位へ浮上。3日目も「71」のアンダーパーのラウンドで2位以下を4打も引き離し、米メディアに「もう最終日を観る必要はない」と言わしめるほど、彼の勢いは目覚ましかった。

それでも、3打のリードを誇っていた世界ランキング1位の王者であっても、簡単には勝たせてもらえないのがゴルフの難しさ、厳しさなのだろう。前日までに比べると、グリーンに翻弄され気味となったシェフラーは、前半でスコアを1つ落とし、足踏み状態。2位タイから出たコリン・モリカワ(米国)に、あれよあれよという間に1打差まで迫られて、上がり3ホールを迎えた。

しかし、追撃をかけるべきモリカワが16番でボギーを喫し、シェフラーは4メートルほどのパーパットを捻じ込んで、2人の差は2打へ広がった。ところが17番はシェフラーが寄せワンに失敗し、再び1打差へ逆戻り。

そして迎えた最終18番は、どちらもグリーン奥の深いラフからの寄せ合戦となったが、モリカワの3打目のチップショットがカップをわずかにそれると、シェフラーは下りのきわどいパーパットをきっちり沈め、右拳を握り締めて勝利のガッツポーズを取った。

愛妻メレディスさんが先月誕生したばかりの長男ベネットくんを抱いてシェフラーに歩み寄り、ベネットくんを大事そうに抱いたシェフラーは、父親として初めて挙げた勝利を我が子に捧げた。

振り返れば、シェフラーが前代未聞の逮捕劇に巻き込まれたのは、ベネットくんが生まれたわずか10日後のことだった。

「手錠をかけられ、拘置所へ連行されたあの出来事を決して忘れることはない。生涯、僕の記憶に突き刺さったままとなる」

今大会開幕前、シェフラーはそう語ったが、同時に彼は、こうも言っていた。「たとえ何が起ころうとも、僕がコースに出るときは、常に戦う準備ができている。あの(逮捕された)金曜日だって、いいラウンドができた。たとえどんな状況でも、ひとたび試合に出たら、いいプレーをするのみだ」。

これを有言実行。恐怖体験を味わわされたあの全米プロでさえ、8位タイで終えたシェフラーは、地元開催だった翌週の「チャールズ・シュワッブ・チャレンジ」では2位タイ。そして今大会で勝利し、今季5勝目、通算11勝目を挙げた。

今季5勝の内訳は、シグネチャー・イベントの「アーノルド・パーマー招待」、“第5のメジャー”「ザ・プレーヤーズ選手権」、メジャー大会の「マスターズ」、そしてシグネチャー・イベントの「RBCヘリテージ」とメモリアル・トーナメントという具合に、破格の優勝賞金が用意されたビッグ大会ばかりだ。

今季5勝で稼いだ優勝賞金総額は1970万ドル(約30億9000万円)。今季獲得した賞金総額は現状で2400万ドル(約37億6000万円)。キャリアで稼いだ賞金総額は現状で6658万ドル(約104億円)。どれも夢のような金額だが、シェフラー自身は、しっかり地に足を付けて戦っていた。

「とても難しいコンディションの下、耐えて踏ん張ることだけを考えていた。今日の僕のゴルフは、すべてがグッドだったわけではないが、勝利するに足るゴルフができた。以前、ジャック・ニクラスから『18番の最後のパットは、いつかきっと入るよ』と励まされたことがあったけど、あの言葉は本当だった。今日はファイナル・パットを沈めることができて良かった」

世界ナンバー1の勢いはとどまるところを知らない様子。来週の全米オープンでもシェフラー旋風が吹き荒れそうな気配である。

文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)


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