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ティショットでホテル越え、“トミーズ・バンカー”も要注意 奥の道路はそのままプレー、17番の攻略法を日本人選手に聞いてみた
松山英樹のスタンスの向きは真っすぐホテル!?|(撮影:福田文平)

<全英オープン 事前情報◇13日◇セント・アンドリュース オールドコース(スコットランド)◇7313ヤード・パー72>

7年ぶりに聖地に戻ってきた「全英オープン」。舞台となるセント・アンドリュース オールドコースは、歴史と伝統が唯一無二。世界でもっとも有名なコースといっても過言ではないこの聖地でのプレーを前に、選手はどんなところを警戒しているのか。

「17番がいちばん印象深いです」と話すのは金谷拓実。495ヤード、パー4のホールは右側にオールドコースホテルが鎮座。建物の左側には低い看板のような部分があるものの、ティショットでここを越えていかないとフェアウェイには収まらない。多くの選手がホテル越えのティショットを放つも、建物に当ててしまうのを恐れて左の深いラフに打ち込むのが“普通”だ。

火曜日の練習ラウンドは、右からの強烈な風という状況。持ち球にもよるが、選手によってはホテルのいちばん高い部分を越えていくこともある。コスリ球でたまたま建物すれすれに飛んだスライスボールが、風に流されセカンド地点に行ってみればフェアウェイ左サイドにあるなど、いったいどこを狙えばいいの?という状況に頭を抱えるイングランド選手もいたほどだ。

今平周吾は「実際にはあんまりホテル越えという感じはしない」というが、風次第の面もある。初出場の比嘉一貴も「実際にはホテルは関係ないんです」と話すが、「結局は横風がすごいので、(右からの風なら)建物ギリギリ、もしくはホテルのちょっと上でもいいのかな」と、時間帯によっては狙い所も変わってくると考えている。中島啓太(日体大4年)は「怖くて打てません」とホテル越えは断念。左サイドのブッシュに打ち込んでしまい苦笑いを浮かべた。

そしてこのティショットをクリアしたあとも、難所が待ち構える。グリーン手前には通称“トミーズ・バンカー”が口を開いて選手を待ち受ける。1978年大会で中嶋常幸が脱出に4回要し、優勝戦線から脱落したことにより、海外での中嶋の愛称“トミー”から名付けられたトミーズ・バンカー。そびえ立つ壁のような高いアゴは、ボールが近ければグリーン方向に打つのは困難を極める。

中島は、「入れないこと。グリーンの手前に運びます」という戦略をコーチとたてている。実際、バンカー方向を避けてグリーン右手前にレイアップしたり、ピンが左ならグリーンの左、18番のティ近くにわざと打って、寄せ勝負に出るという選択肢が現実的だ。

そして最後の罠は、グリーン奥の道路。コース内にアスファルトの道路があるのだが、ここは救済を受けることができず、そのまま打つことが要求される特別な“道路”。中にはその事実を知らず、あわてて練習する選手もいた。

火曜日の練習ラウンドでは、桂川有人が一緒の組でプレーしたジャスティン・ローズ(イングランド)から手ほどきを受けるシーンもあった。ローズはフェアウェイウッドでトップ目に当てて、転がし上げる戦法。比嘉は「パターですかね」と話し、中にはソールに傷がつかないようにウェッジで打つ選手もいる。

ティからは見た目の景色に惑わされ、セカンド以降はくっきりとした罠が正確なショットを要求してくる。18番が短いパー4なだけに、この17番が勝負を左右する鬼門となる可能性が高い。最終日の優勝争いで、果たしてこの難所を無事クリアできるのか。そしてそこに日本人選手は絡んでいるのか。どんなドラマが生まれるのか、じっと目をこらして見てほしいホールだ。

<ゴルフ情報ALBA.Net>