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世界最古のオープン競技 “全英オープン”ってどんな大会?
今年クラレット・ジャグを手にするのは…|(撮影:GettyImages)
4月の「マスターズ」で日本人男子初となる海外メジャー制覇を成し遂げた松山英樹は残念ながら新型コロナウイルスの陽性判定のため欠場となるが、今年最後のメジャー大会が15日(木)に開幕する「全英オープン」。2019年に渋野日向子が「全英“女子”オープン」を優勝したけど…、「そもそも全英オープンってどんな大会?」、「詳しくは知らないなぁ」という方も少なくないのでは。そこで、改めてどんな大会か紹介しよう。


■そもそも海外メジャーって? そのなかで全英オープンの位置づけは?

まずは海外メジャーのおさらい。『4大メジャー』とも呼ばれるように、男子ゴルフのメジャータイトルは、松山が優勝した「マスターズ」、そして5月に行われた「全米プロゴルフ選手権」、6月の「全米オープン」、7月の全英オープンの4つ。すべての大会を同一年に勝つことを「グランドスラム」と呼ばれる。ちなみにタイガー・ウッズ(米国)は2000年の全米オープンと全英オープン連勝で達成。最終的にはこのあとも連勝してメジャー4連勝。「タイガースラム」と呼ばれる前人未到の偉業を成し遂げた。

4大会はそれぞれ主催者が異なっており、今回の全英オープンはR&A(英国ゴルフ協会、正式名称はロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフ・クラブ・オブ・セント・アンドリュース)が主催となる。同協会はゴルフの総本山とも呼ばれ、ルールやクラブ&ボールの基準などもここで決められている。

順延などがなければ毎年7月の中旬に行われる。ただし、20年は新型コロナウイルス感染拡大のため、1945年の戦争の影響以来となるトーナメント中止となった。前回大会となる北アイルランドのロイヤルポートラッシュGCで行われた19年大会は、シェーン・ローリー(アイルランド)がアイルランド勢として11年ぶりの美酒に酔った。

■今年で149回大会 初年度からストロークプレー

“The Open”と呼ばれるように、メジャーだけでなくほかの選手権競技を含めても唯一無二の存在。歴史は最も古く、第1回大会は1860年に開催された。それ以降1871年、1915年〜19年、40年〜45年、そして先述の20年が中止になった以外は毎年行われている。

優勝トロフィーは『クラレット・ジャグ』と呼ばれ、優勝者の名前が刻印されて送られる。フランスのボルドー地方で生産されるワインの銘柄クラレットと、ジョッキを意味するジャグを合わせた名称で、形状はワインジョッキが原型となっている。かつてはチャンピオンベルトが送られていた。

また、全英オープンの特徴として“あるがまま”を大事にしたセッティングが施されていることが挙げられる。アンジュレーションの多いフェアウェイ、フェスキューと呼ばれる異常に長いラフなど、何年もかけてメジャーコースをつくりあげるほかの3大会とは一線を画す。自然との闘いといった部分ではリンクスコース特有の海風、さらに“1日に四季がある”と言われるほど目まぐるしく変わる天候も選手たちの行く手を阻む。

■固定された数コースで毎年持ち回り 今年は小金井CC設計者が2勝を挙げた舞台

松山が優勝したマスターズは毎年オーガスタ・ナショナルGCで行われ、同コースと松山の相性の良さが毎年報じられてきたが、全英オープンは最初の12大会はプレストウィックゴルフクラブ1コースで開催されていたものの、今は決められたコースの持ち回りで開催されている。現在は有名なセント・アンドリュース オールドコースをはじめとする8コースがロースターを構成し、ドナルド・トランプ前米国大統領が所有していたターンベリーもかつては開催コースに入っていた。

今年の舞台は15回目の開催となる、イングランドのロイヤル・セントジョージズGC。このコースでは日本の小金井カントリー倶楽部の設計者としても知られるウォルター・ヘーゲンが1922年、28年と2勝を挙げている。直近の11年大会ではダスティン・ジョンソン(米国)を1打差で振り切ったダレン・クラーク(北アイルランド)が優勝している。

■最多勝は帝王ほか4人  日本人最高成績は青木功、松山英樹の2位!

これまで148回行われてきた大会で、最多となる6勝を挙げているのはハリー・バードン(イングランド)。最多連続優勝は17歳5カ月8日の最年少記録も持つトム・モリス・ジュニアの4連覇となっている。

メジャー優勝15回を誇るタイガー・ウッズ(米国)は05年、06年の連覇を含む大会3勝。うち2回をセント・アンドリュースで挙げている。直近で連覇を成し遂げたのは07年、08年優勝のパドレイグ・ハリントン(アイルランド)となっている。

日本勢に目を向けると最高成績は、1982年大会の倉本昌弘で4位タイ。さらには2002年大会で5位タイに入った丸山茂樹。トップに4人が並んだ大会で1打差に終わったのは記憶に新しい。06年には谷原秀人が6位タイに入り、さらには、松山英樹が13年大会で初出場ながら6位タイに入っている。

■予選会からの出場も多い 今年は日本人5人が出場!

“全英”というだけあって出場資格には「前年欧州ツアーレース・トゥ・ドバイポイントランキングの上位30名」、「同年の同レース上位20位内の5名」など、ほかの3大会以上に欧州の選手への出場権も多い。

また、日本にも縁が深く、「前年の日本ツアー賞金ランキング上位2名」、「前年の日本オープン優勝者」、「同年のアジアパシフィックダイヤモンドカップゴルフ優勝者」、「ミズノオープンで資格を持たない上位2名」など日本ツアーでも出場資格を獲得できるトーナメントもいくつかある。

日本勢は松山英樹、永野竜太郎、星野陸也、金谷拓実、今平周吾、木下稜介、稲森佑貴の7人が出場資格を得ており、松山、今平を除く5人が出場予定となっている。