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メジャーを独占中! 米国人ゴルファーが目指す“年間グランドスラム”
直近の全米オープンではゲーリー・ウッドランドが優勝を飾った

2019年のメジャー大会。ここまでは米国人ゴルファーたちの独壇場となっている。そんな彼らが目指すのが、史上稀(まれ)にみる同胞選手のみで達成する「年間グランドスラム」だ。

 

マスターズのタイガー・ウッズに始まり、全米プロではブルックス・ケプカ、そして直近のメジャーである全米オープンを制したのはゲーリー・ウッドランド。待望されたベテランの復活に加えて、飛ぶ鳥を落とす勢いの世界ナンバーワンと、脂の乗った35歳が次々とメジャーを制覇していったのである。

 

最後に“同胞グランドスラム”が起こったのは、遡ること37年も前のこと。1982年はクレイグ・スタドラ―のマスターズ優勝を皮切りに、トム・ワトソンが全米・全英の両オープンを制し、そして全米プロで戴冠したのはレイモンド・フロイドだった。

 

ロイヤルポートラッシュ大会には、前述した3人に加えてダスティン・ジョンソンやジャスティン・トーマス、ジョーダン・スピースなど、過去数年間でメジャー優勝を経験しているビッグネームもそろい踏み。2019年のメジャー大会で、米国人ゴルファーが完全勝利を達成する可能性は“特大”ともいえる状況下にある。

 

さらに、直近のメジャー10戦では米国勢が9勝。唯一の例外は、昨年の全英オープン、カーヌスティ大会でイタリア人のフランチェスコ・モリナリのみとなっている。それだけに今大会で優勝候補に名を連ねるのも、米国人選手ばかりだ。

 

それでは、渦中の選手たちはどのように考えているのか?

 

上記の9勝のうち4つのトロフィーに手を届かせたケプカは、「なぜなのかは分からない」と首をかしげる。その一方で「カレッジゴルフから優秀な選手が次々と輩出されていて、彼らは瞬く間に成長している」と分析する。

 

「下の世代の選手たちは理由は定かではないけど、大学卒業と同時にトップレベルで戦うための準備ができているようだ。米国人選手に限れば、このような独占状態ではない期間も長かった。世の中のすべてにトレンドや流れはあるわけで、将来的には違った流れが訪れるに違いない」(ケプカ)

 

全米オープン王者のウッドランドは、「いい傾向だと思う。米国ゴルフは素晴らしいポジションにある」と喜び、次のように続ける。

 

「ジャスティン(・トーマス)やジョーダン(・スピース)といった才能豊かな若い選手がたくさんいて、彼らはすでにメジャー王者に輝いている。でも、欧州の選手たちにも強い選手は多く、今は世界中から優秀なゴルファーが生まれている。今週も、例えば(地元北アイルランド出身の)ロリー(・マキロイ)にとっては極めて重要な大会になるだろうから、激しいバトルが繰り広げるはずだ」

 

翻って、欧州出身選手の反応はどうか。2013年の全米オープン覇者で世界ランキング4位のイングランド人、ジャスティ・ローズは「米国人選手が好調なのは間違いない」と話す。

 

「積極的で、アグレッシブなゴルフがそれに起因しているんじゃないかな。ブルックス(・ケプカ)は確実にこれに当たると思うし、だからこそ結果が出ている。それ以外では正直、これといった要因は見当たらない」

 

「しかし、フランチェスコ(モリナリ)が昨年大会で優勝しているし、全米オープンは私が勝ってもおかしくなかった展開だった。ロリーも常に優勝を狙える存在だ。今はたまたまこういったサイクルになっているだけだと思う。彼らにとっては良いことだけど、すぐに終わってくることを願っているよ!」(ローズ)

 

理由はさておき、米国以外の選手は“打倒アメリカ”の意識が高そうだ。「米国勢対欧州&世界チーム」の構図は、間もなく開幕する全英オープンを観戦するうえで、また一つ注目すべきポイントとなる。