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ブルックス・ケプカ ロイヤルポートラッシュへの秘密兵器
間違いなく優勝候補の一角に挙げられるブルックス・ケプカ

過去3年間でメジャー4勝のブルックス・ケプカ。優勝候補上位に名前が挙がっているが、ロイヤルポートラッシュを訪れたことはこれまでに一度もない。しかしながら、今週開幕の第148回全英オープン選手権に向けて、ケプカは特別なカードを隠し持っている。

 

それはキャディだ。ケプカが日頃から苦楽をともにしているリッキー・エリオットは、生まれも育ちもポートラッシュである。本人いわく、同コースでは「1000回はプレーしている」。

 

エリオットは、ケプカがメジャーで優勝した4度すべてでバッグを担いできた。2017年の全米オープン初優勝から始まり、翌年の同タイトル連覇の際にも、ケプカとともにグリーン上にいたのはエリオットだった。さらに2018、2019年と全米プロゴルフ選手権の連覇にも貢献している。

 

過去の全英オープンで、ケプカの最高順位は6位タイとなった2017年ロイヤルバークデール大会。エリオットはなじみ深い自身のホームグラウンドで、ケプカがこれ以上の結果が残せるように最善を尽くしたいと考えている。

 

親しい友人

 

そんなエリオット。幼いころは自身も、将来性豊かなゴルファーとして期待されていた存在だった。ジュニアの大会ではロイヤルポートラッシュでもプレーしており、アルスター・ボーイズ選手権(注:アルスタートは北アイルランドのことを指す)やアルスター・ユース選手権でも優勝している。

 

高校卒業後は米国のトレド大学へゴルフ留学し、卒業後はプロゴルファーを目指していた。実際に小規模な大会に出場するなど、プロとしてもプレーをしていたが大成しなかった。そんな折に、キャディとしてのチャンスが訪れたのである。

 

「フロリダへ行き、幼なじみでもあるGマック(グレーム・マクダウェル)もいたレイク・ノナ(ゴルフ&カントリークラブ)でアシスタントをしながら、プレーをしていたときのことです。4、5年いたのですが、そこでヨーロピアンツアーでプレーしていたマーテン・ラフィーバーのキャディを務める機会があり、そこからすべては始まりました」

 

ラフィーバーの後にタッグを組んだのは、2003年の全英チャンピオンでもあるベン・カーティスだったが、2012年にコンビは解消。そして2013年にケプカと出会うことになる。

 

当時のケプカはチャレンジツアーでプレーしており、欧州ツアーのシード権を獲得する寸前の選手だった。とはいえ、エリオットは当時から「ブルックスがスゴい選手になるのは一目でわかりました」と話す。

 

「今では5年以上も一緒にいます。ブルックスは正真正銘のワールドクラスのゴルファーです。同時に、人間としても素晴らしい。『世界級』の男ですよ。ポートラッシュには行ったことがないようですから、連れて行ってあげるのが楽しみで仕方ないんです!」

 

全英オープン対策

 

ケプカの全英オープン初出場は2013年ミュアフィールド大会だ。その際にはリンクスの洗礼を受けて決勝進出はならなかったものの、以降に出場した全英では常に最終日までラウンドをこなしている。

 

2014年のロイヤルリバプールでは初の予選突破を果たして67位タイ。2015年、ケプカ自身が「大好きだ」というセントアンドリュースではトップ10入りしている。翌年は出場しなかったものの、2017年ロイヤルバークデールでは優勝争いにも絡んだ末の6位タイフィニッシュ。昨年のカーヌスティは39位タイだったものの随所に好プレーを見せているだけに、ロイヤルポートラッシュを熟知しているエリオットとのコンビネーションで、今季は初のクラレットジャグ獲得への期待は自然と高まっている。

 

エリオットはいう。

 

「おそらく、私がバッグを担いでいるのは有利に働くと思います。このコースでは1000ラウンド以上プレーしていますし、小さなディテールで結果は大きく異なりますから」

 

「これらのグリーンの上で育ってきた人間として、真っ暗な状況でも芝をしっかり読める自信もあります。誰にでもホームコースがあるように、ここは私のホームです。それだけに、少なからず有利に働くと思います」

 

「とはいえ、ブルックスの飛距離やプレースタイルにも変化が出ていますし、私自身がプレーするのとは多少違ってきます。無論、それも念頭に置いています。ブルックスには合っているコースだと思います」

 

コースの改修

 

1951年にマックス・フォークナーがクラレットジャグを掲げて以来、68年ぶりに全英オープンはポートラッシュに戻ってくる。だがその一方で、コースには改修工事が施され、その“表情”は以前とは異なっている。

 

全英オープンデビューを果たすパー5の7番、パー4の8番は選手たちも楽しみにすべきホールといっていいはずだ。

 

実際にプレーしたことのあるエリオットは「最高ですね」と太鼓判を押す。「100万年前からここに存在していたかのように、見事にフィットしています」。

 

「ティグラウンドの位置を変えたり、多くのホールが改修されています。全体的に大胆な変化を遂げてタフでより“強い”コースになっているのは確かですが、すべてがうまくハマっている印象です」

 

同コース、つまり自身の地元でケプカが優勝したらどのような気持ちになるかを聞かれたエリオット。

 

「正直、予測もできませんね。すでにメジャー4勝していて、全英オープンでも結果を残しています。ブルックは風にも強いですし、リンクスを得意としています」

 

「もし日曜の夜に、このポートラッシュでブルックスがクラレットジャグを掲げていたら……、私は引退するかもしれませんよ!」