Skip to main content
ニュース
ロイヤルポートラッシュ「なぜ特別なのか」

68年ぶりに全英オープンは、グレートブリテン島を離れて北アイルランドに向かう。

ゴルフの祭典の開催会場となるロイヤルポートラッシュは、世界有数のコースとして知られ、1951年にも大会を開催した場所だ。長年のときを経て、今回2度目となる世界最古のメジャーのホストコースとなる。開幕が近づくにつれ、現地はさらに熱を帯びてくる。それほど人々は大会開催を待ちきれないのである。

北アイルランドは人口180万人の小国ながら、これまでにフレッド・デイリー、ダレン・クラーク、ロリー・マキロイと3人の「チャンピオン・ゴルファー・オブ・ザ・イヤー」を生み出している。

さらにメジャー覇者でいえば2010年の全米オープン王者、グレーム・マクダウェルもいる。これだけでも、北アイルランド国民がフェアウェーとグリーンになじんだ民族であることは一目瞭然だろう。

とりわけマキロイは、ゴルフファンが大きな期待を寄せる存在だ。同国を代表するスターゴルファーもついに30歳となった。ライダーカップでは欧州代表として4度の勝利を経験し、全米プロ選手権も2度制覇。さらに2014年のロイヤルリバプールでは念願のクラレットジャグを掲げるなど、世界有数のアスリートに成長した。

だが本人にしてみれば、もし地元で全英オープンを制することができたとしたら、これらすべての栄光がかすんでしまうようだ。

「北アイルランドでメジャーが行われるとは夢にも思っていなかった。もし優勝できたら、私のキャリアでも最大の偉業と言える」

今年初旬に行われたインタビューでは、次のようにも断言している。

「今季1勝だけしかできないとしたら、ロイヤルポートラッシュを選ぶだろう。マスターズもあるが、それは来年以降で構わない」

「2019年の全英オープンは、随分前から頭の中にあった。地元でジ・オープンが戦えるとは考えたこともなかった。自分が生まれ育った場所を自慢したいし、私を支えてきてくれたみんなにプレーを披露することができるのは、すごいうれしいことだ」

「昨季優勝していれば、クラレットジャグを返還する役割もできたんだけどね。それは残念だけど、全英オープンをポートラッシュでプレーするだけでも信じられないほど刺激的だね」

それでは、ロイヤルポートラッシュでは何を期待すべきか?

ほかの全英オープン開催コースとは違い、今大会では多くの選手が真っ白なキャンバスに絵を描くようなものである。それだけでも、さらに興奮するような展開が期待できる。

加えて例年以上の盛り上がり、特別な雰囲気が味わえることになりそうだ。カーヌスティからロイヤルセントジョージまで、全英オープンは毎回異なったコース、そして環境の中でプレーするため、毎年違った経験を味わえる。しかしながら、今大会はこれまでには経験したことのないような、さらに特別な大会になりそうだ。

アントリムの海岸線から少し内側の場所に位置するロイヤルポートラッシュは、全英オープン会場としては最適の環境にある。北アイルランドにある隠された宝石、まだ発見されていない美しい隠れ家。公平にして挑戦的なゴルフコースは、大西洋からのやってくる天候により、その表情が大きく変わる。

「ロイヤルポートラッシュの素晴らしいところの一つは、ベルファストから車でやってきてコースの手前にある丘の頂上に来て、ちょうどロイヤルコートホテルが右側にあるあたりで、目の前にゴルフコースとアイルランド海が大きく広がって見えるんだ」

「それを見ると、ここがどれだけ美しい場所かが再認識できる。そしていざコースに近づくと潮風の香りがして、たいていの場合は強風が顔をたたいていく。雨も降っている場合も多いな」

「これこそが私の育った場所。車を降りてゴルフコースに飛び出すと、いつもそう感じたのを覚えている。リンクスコースで育ったからね」

「その時点でタフな一日になることは承知していて、そのチャレンジがとてつもなく楽しいんだ」

またギャラリーであれば、ゴルフコース以外にも楽しむことができる。世界遺産のジャイアンツコーズウェイはコースのすぐそばにある。コースからコーズウェイまでは10キロ強。ブリテン諸島で最も美しい景観を目の当たりにすることになる。またウィスキーで有名なブッシュミルズはポートラッシュの隣町で、一見の価値のある絵はがきのようなかわいらしい村である。時間のある方は、ぜひ訪れていただきたい。

ポートラッシュの魅力「興奮を隠しきれないんだ」

2011年大会優勝者で、ポートラッシュ在住のダレン・クラークは言う。

「大会に向けてすべて完成間近で、街はとても盛り上がっている。いろいろな回線も地面に埋め込まれて、インフラもしっかり整備されている。我が町がこんなことになるとは思ってもみなかった。世界で最大の大会が自分の街で行われるのは、とても光栄なことだ」

昨季王者のフランチェスコ・モリナリは、この街、コース、そしてギャラリーの興奮ぶりを経験したことのある数少ない選手の一人だ。

「2012年のアイルランドオープンでプレーした。最初の2日間は、前年の全英オープン覇者のダレン(クラーク)と回った。あの雰囲気は、ほかには感じたことのない特別なものだった。最高の大会になることは間違いない」

それではコースはどうだろうか? 同じく、同コースでプレーしたことのあるダニー・ウィレットはこう振り返る。

「伝統的なリンクスコース。ホール間にあまりスペースがなく、そのスペースさえも丘ばかりだ。アイルランドオープンでプレーしたが、ギャラリーは素晴らしかった。ポートラッシュで行われる全英オープンは待ちきれないな」

過去3年間でメジャー4勝と成長著しいブルックス・ケプカもまた、アイルランドでのプレーを楽しみにする選手の一人だ。欧州ツアーで研鑽(けんさん)を積んだケプカだが、北アイルランドを訪れたことがないという。

「行ってみたい場所だから、とても楽しみにしている。ボクのキャディはポートラッシュの出身だから、ボクよりもさらに楽しみなんじゃないかな(笑)。ワクワクしているよ!」

誰もが楽しみにする特別な舞台、ローヤルポートラッシュでの全英オープン。開幕が待ち遠しい。