Skip to main content
ニュース
歴史的名勝負が生んだ大記録 ステンソンが歓喜の初メジャー
メジャー初Vまで時間はかかったが、そのぶん、記録づくめの勝利となった|(撮影:岩本芳弘)

<全英オープン 最終日◇17日◇ロイヤルトゥルーン(7,190ヤード・パー71)>

スコットランド南西部に位置するロイヤルトゥルーンは、歴史に残る名勝負の舞台となった。145回の歴史でもまれにみる最終日最終組による伸ばし合いは、1打差の単独首位からスタートしたヘンリック・ステンソン(スウェーデン)がトータル20アンダーまで伸ばし、46歳のフィル・ミケルソン(米国)を退けた。


ステンソンはこれが初のメジャータイトル。トータル20アンダーはタイガー・ウッズ(米国)が2000年にセントアンドリュースでマークしたトータル19アンダーを上回る全英最少スコア記録。2001年の「全米プロゴルフ選手権」でデビッド・トムズ(米国)が記録したメジャー最少ストロークも更新した。記録達成のかかった最終18番のバーディパットはカップ右フチに止まり、最後のひとコロがりでカップイン。リンクスの女神が演出した静寂のあとに、待ち焦がれた歓喜の瞬間はやってきた。

事実上のマッチプレーだった。ボギー発進ながら3連続バーディで突き放しにかかったステンソンを、ミケルソンは4番パー5のイーグルで追撃。獲れば獲り返すノーガードの打ち合いは後続を一気に置き去りにし、リングの上には2人だけが残った。ステンソンが1打リードで迎えた10番では、先に4メートルを沈めたステンソンに対し、ミケルソンも約3メートルを入れ返す。11番ではステンソンが2つ目のボギーでついに並んで、勝負は終盤戦に突入した。

だが、最後は初のメジャータイトルへの執念が勝った。「フィルは譲らないだろうから、自分をプッシュして自らバーディチャンスを作り、差をつけようとした」。12番はミケルソンが手前から長いパーパットをねじ込んで粘りを見せるも、ステンソンは13番で5メートルを決めてバーディ。さらに15番では右から約15メートルを放り込み力強く右こぶしを握り締めた。16番パー5ではミケルソンがこの日2つ目のイーグルかというパットを見せるも、カップ右フチに止まる。ステンソンは3連続バーディとして突き放した。

優勝の瞬間は全身の力を込めて両拳を握りしめた。「今はアドレナリンが体中に流れているけど、家に帰ると疲れて階段を上がるのも難しくなるはずだよ(笑)」と冗談めかしたがミケルソンとの18ホールはこれまでのどのラウンドよりも印象的だった。「2人で他の選手たちを引き離すことに成功して、素晴らしいゴルフができた。彼は確実に過去20年では最高のゴルファーの一人だ。そんな相手を向こうに回して勝利した。よりスペシャルな勝利だ」。

この日のトータル20アンダーは全英だけでなく、2015年「全米プロゴルフ選手権」のジェイソン・デイ(オーストラリア)に並ぶメジャー最少スコアタイ記録でもある。「フィルは絶対にあきらめないと分かっていた。ただ逆にいえば、そのおかげでプレーしやすくなったんだ」。歴史的な試合展開が生んだ大記録だった。

【ヘンリック・ステンソンの記録】
<メジャー最少ストローク>
264 ヘンリック・ステンソン 全英オープン 2016
265 デビッド・トムズ 全米プロゴルフ選手権 2001

<メジャー最少アンダーパー記録>
-20 ヘンリック・ステンソン 全英オープン 2016
-20 ジェイソン・デイ 全米プロゴルフ選手権 2015

<全英最多アンダーパー記録>
-20 ヘンリック・ステンソン 2016
-19 タイガー・ウッズ 2000
-18 ニック・ファルド 1990
-17 ローリー・マキロイ 2014
-16 ルイ・ウーストハウゼン 2010