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教訓はオーガスタの記憶 スピース、3打差V王手も緩みなし
スピース、2位に3打差をつけメジャー完全優勝に王手|(撮影:岩本芳弘)

<全英オープン 3日目◇22日◇ロイヤルバークデール(7,156ヤード・パー70)>

「ソリッドなゴルフができた。これ以上ないという状況だからとてもハッピーだ」。23歳がまた新たなタイトルに手をかけた。トータル6アンダーの首位からスタートしたジョーダン・スピース(米国)が5バーディ・ノーボギーの“65”で回り、トータル11アンダーでフィニッシュ。2位のマット・クーチャー(米国)に3打差をつけて、メジャー完全優勝に王手をかけた。


スピースの最終組が出る前に並んだのは、ブランデン・グレース(南ア)が叩きだしたメジャー新記録“62”を含むビッグスコア。首位から出るとはいえ、スコアを伸ばせなければ後続に飲み込まれるのが確実な状況だった。「今日は天気がよくてスコアが伸びる日。2打差首位からスタートはプレッシャーがかかるし、精神的に少しタフなものなんだ。リードした状況だとセーフティなプレーをできるから楽なはずなんだけど、今日はアグレッシブにいかなくてはいけない日だったから」。

スコアを動かしたのは3番パー4。約173ヤードのセカンドをベタピンにつけてバーディとした。「あのショット(ベタピンにつけたセカンド)は大きかった。あれでスイッチが入った」。7番パー3、8番パー4と連続バーディでさらに後続を引き離していく。バックナインは足踏みが続いて、15番パー5では先にバーディを決めたクーチャーに並ばれたが、2メートルを入れ返してトップは譲らない。最終18番は大きく曲がる5メートルのフックラインをねじ込んで突き放した。

2位との差は3ストローク。「本当は15打差くらいついていればいいけど(笑)そうでなければ、ちょうどいいくらいのリードだ」。安定感のあるスピースにとっては大きなリードともいえるが、苦い思い出もある。それは2016年の「マスターズ」。サンデーバックナインを迎えた時点で2位との差は5ストローク。だれもがスピースの連覇を期待したが、アーメンコーナーの12番パー3で2回クリークに落とすなど“7”を叩いてグリーンジャケットを逃した。

だが、今のスピースにはその苦い記憶すら強みに変えている。「あの経験があるのはとても有利に働くはずだ。良いことも悪いこともすべてを経験できた。リードを失うのはとても簡単なのも知っているし、逆にプレーのし続け方も知っている。辛い経験だったけど、前進するためにはいい経験にもなった」。

「今から18時間か20時間か分からないけど、ポジティブな気持ちで、リラックスしながら明日のゲームプランに沿ってプレーするだけ。精神的に疲れるとは思うし、感情や頭の中をニュートラルにしているのは決して簡単ではないこと。だけど、それこそが一番やらなくてはいけない、大切なことだ」。初の全英制覇のかかる最終日に向けても、23歳の気持ちが揺らぐことはない。