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マッチレースに敗れたマット・クーチャー「悔しい、嬉しい、でも辛い」
息子を抱き涙目になるクーチャー、メジャータイトルには惜しくも手が届かず|(撮影:岩本芳弘)

<全英オープン 最終日◇23日◇ロイヤルバークデール(7,156ヤード・パー70)>

まさかの幕切れだった。首位と3打差の2位から出たマット・クーチャー(米国)は、首位のジョーダン・スピース(米国)が出だし4ホールで3つスコアを落とすなどもたつく間に、着々と差を詰めて、13番を終えた時点で単独首位に立った。初のメジャータイトルが目前に迫っていたが、息を吹き返したスピースが、14番から4ホールで5つスコアを伸ばす驚異的なゴルフで再逆転。この日4バーディ・3ボギーの”69”と優勝争いの中、スコアを伸ばしたが、トータル9アンダー、単独2位と涙をのんだ。

スピースとのデットヒートに敗れたクーチャー。「説明するのが難しい。息苦しいし、とても悔しい。最後までよく戦ったし、好プレーをしたことには興奮を覚えているし、嬉しいことだ。でも辛いよね」と複雑な心境を吐露した。

39歳のクーチャーは、米国PGAツアーで7勝を挙げるベテラン。1997年の全米アマを制し、98年にアマチュアとして出場したマスターズを皮切りに、今大会で47度目のメジャー出場。トップ10入りは9回を数えるが、ビッグタイトルには手が届いていない。「ここにたどりつくまでに、ずっとハードワークをこなしてきたんだ。メジャー優勝という歴史を作るあと一歩のところまできた。そんな機会は、そうあることではない。残り5ホールで(単独首位に立ち)手に届くところまで近づいていただけに、(結果を)受け入れるのは難しい」。

クラレットジャグ(優勝トロフィ)を逃したことに悔しさをにじませるが、「(首位に立った)私は最後の5ホール中(18番を除く)4ホールは2アンダーだ。残念ながらジョーダンがそれ以上のゴルフをした。見ていて感動するぐらいのプレーだった。私にできるのは帽子を取り『ウェルダン』ということだけだ」と、スピースのメジャー3勝目をたたえた。

「今はタフだけど、この経験のおかげでまたハードに練習しようと思うし、もう一つ上の順位を目指したい。こういう経験があるから、人は自分をプッシュするんだ。勝利まで本当にあとちょっと。その味も口にしかけた。またチャレンジしたいと思わせてくれる」。

若き英雄、スピース以上にクーチャーはギャラリーの熱烈な声援を受けたが、ホールアウト後、目の前に姿を現した家族を見ると涙腺を緩ませた。「昨夜話した時には米国コロラドにいたんだ。とても驚いたよ。涙が出るほどにね。こうした経験を分かち合える最愛の人たちがそばにいるのは本当に嬉しいものだ」。次はうれし涙を家族と分かち合いたい。